A star in the whole sky 第十五話:夢を見た後で
星一「な…ミュウツーだと!?」
ミュウツー「……」
ミュウツーは冷たく光る目で星一のほうをジッと見ていた。
ふと、足が動かない事を星一は感じた。
星一「何故、お前が生きている?!」
ミュウツー「私は…新たにR団に作られた」
星一「R団が?!」
ミュウツー「最も、すでに私はR団の配下では無い。
      私は最強を目指す為、修行を続けていた。
      そして…お前の存在を思い出した。
      私を三度倒したようだな。
      そのお前を倒すことは最強になるという事だ。
      もっとも、どの戦いも共闘者がいたみたいだな。
      一人きりで…私に勝てるのかな?
      私は前の三匹とは違うぞ…」
星一「そうやって…脅しをかけようっていうのか?」
ミュウツー「脅しでは無い。これは事実だ」
星一「チッ、ゲンガー!サイコボール!」
ミュウツー「…無駄だ」
同じ大きさのサイコボールを出して衝突させる。
2つともその場で消えてしまった。
衝撃で風がおこる。
星一は深く考えを張り巡らせていた。
勝ち目の無い戦い。
そんな事は十分にわかっていた。
だが、勝たなくてはならない。勝たなくては…
三年前の悲劇が思い出される。力が足りなくて壊滅に陥った4つの都市。
再び、あんな事が、いや、あれ以上の事が起きる。
なんとしても止めなくてはならない。しかし止めることが出来るのか…
そんな葛藤とジレンマの中、再びミュウツーの攻撃が始まった。
ミュウツー「くだらん…」
星一「…!」
そう言うとミュウツーは先ほどの三倍はあるサイコボールを作り出した。
ミュウツー「とどめを刺してくれよう……」
威圧感。
そう考えるしか無かった。
明らかに気持ちで負けている自分に星一は気付いた。
星一「俺が…諦めたら終わり…か」
腰のボールに手をかける。
ミュウツー「くらえ」
星一「行け、ブラッキー!だましうち!」
サイコボールがブラッキーに直撃した…が、ブラッキーには一向に効かない。
ミュウツー「……チッ」
ブラッキーの攻撃がミュウツーにヒットした。
ミュウツー「そうか。確かエスパータイプは効かないのだったな。
      ならば、じわじわと殺してやろう…」
ミュウツーが右手の拳に力を込めた。
星一「!戻れ、ブラッキー!行け、ハッサム!」
ミュウツー「くらえ、"どくどく"…?」
ミュウツーの右手の拳からくりだされた、"どくどく"
のエキスはハッサムの体にはじかれるように地面に墜ちた。
ミュウツー「どくの効かないタイプ…鋼タイプか…」
星一「ご名答だよ、ミュウツー。
   行け、ハッサム!"みねうち"!」
ハッサムが残像を残してミュウツーの体を斬ったかに見えた。
ミュウツー「甘いな」
ハッサムの背後からミュウツーが"ほのおのパンチ"を全力でくりだした。
ハッサムが力無く地面に倒れる。
ミュウツー「まず、一匹」
ミュウツーの冷たい目が地下室の灯りの中で鈍く光っていた。
星一「……行け、フシギバナ!"つるのムチ"!」
フシギバナの花から出てきたツルが素早くミュウツーに襲いかかる。
ミュウツー「児戯だな」
ミュウツーが右手をかざすと、ツルの動きが止まり、
逆にそのツルをひっぱりフシギバナが宙に舞った。
ミュウツー「これでやりやすくなった」
辺りが一瞬紫色に染まったかと思うと、
再びサイコボールをミュウツーが放った。
フシギバナも倒されてしまった。
ミュウツー「…どうした?平和で戦いの腕が鈍ったか?」
星一「クッ…」
再びボールに手をかけた。
星一「キングドラ!冷凍ビーム!」
またたくまに部屋中が凍っていく。
天井にはいくつものつららが見る見る形勢されていった。
ミュウツーの足周りも凍り始めている。
ミュウツー「無駄だ」
ミュウツーの手から氷の刃が現れた。
ミュウツー「…これでもくらえ」
ミュウツーが手を素早く動かすと、その刃は一直線に
キングドラの方に向かっていった。
星一「な…! ま、まずい!」
しかし、遅かった。
キングドラの体を氷の刃が貫通している。
キングドラも倒れてしまった。
ミュウツー「そうそう、かつて私がやられかけたワザだったな、これは」
ミュウツーが倒れたキングドラをみて、微笑しながら呟いた。
星一「よし…行け、ゲンガー…」
ミュウツー「…ふん、やっと出てきたか。
      しかし、早々に片を付けるさせて貰うぞ!
      サイコキネシスを直にたたき込む!」
ミュウツーが一気にゲンガーに近づいてきた。
星一「ゲンガー!念力!」
ミュウツー「エスパータイプの私に念力なんぞ…!」
少しも怯まずにミュウツーが言った。
そして、一気に、射程距離に入った。
ミュウツー「勝った!お前は負けたのだ!」
星一「いいや、負けるのはお前だよ」
ミュウツー「何…!」
ドガッ!
ミュウツーの背中に衝撃が走る。
ミュウツー「…!?」
慌てて後ろを振り返るミュウツー。
ミュウツーの背中に刺さったのは、
さっきキングドラの冷凍ビームによって形勢されたつららだった。
星一「ゲンガーの念力で…落とさせた……
   お前の負けだな。ゲンガー!念力!」
十数本の柱が一気にミュウツーに襲いかかった。

ミュウツーが立ったまま動かなくなった。
ウチ何本かは体を貫通している。
星一「…ふう、倒した…か?」
ミュウツーの右腕がけいれんしたかのように動いた。
星一「く…まだ…」
ミュウツー「…合格だ。ウデは落ちてないようだな」
意外な言葉だった。
星一「合格…だと?」
ミュウツー「そうだ」
ミュウツーが"じこさいせい"をしながら答えた。
ミュウツー「やはり、その腕前落ちている事は無かったな。
      今の攻撃…なかなかの物だった。
      わたし自身の念力で緩和させていなかったら…」
星一「…なんの事だ!」
ミュウツー「星一。私と手を組まないか?」
再び、意外な一言だった。
星一「…手を組む?どういう事だ」
ミュウツー「私は最強になる為に生まれてきた。
      そして、これからも最強を目指す。
      私の本来の目的は殺戮などではない。
      単純な強さ。それだけだ。そして、
      それはかなり完成されたものだったはずだ。
      だが、私はお前に倒された。
      お前の強さは"かけひき"や"組み合わせ"る事…
      そう、お前と手を組む…いや、特訓をすれば、
      私もより、最強への道を歩めると思う」
星一「……」
ミュウツー「お前達も私に五体満足では勝てないだろう?
      良い条件ではないのかな?」
星一「本当に俺の仲間になろうっていうのか?」
ミュウツー「ああ…。もう、人間を殺したりはしない。これは契約だ」
星一「わかった…じゃあ、ドライマーさんはどこにいるか教えてくれ」
ミュウツー「ドライマー?誰だ、それは?」
星一「とぼけるな、R団がラジオ塔を襲撃した時に、
   いなくなった、ドライマーさんの事だ」
ミュウツー「ラジオ塔?その事件自体は知っているが、
            残念ながらそれに私は関与していない。
      最初に言ったように、私はすでにR団の
      配下では無いのだからな」
星一「え?」
    ......