新井星一物語ポケモン編第一話:はじめてのバトル

ジリリリリリリ………
目覚まし時計が、朝の静寂を破ってけたたましい音を奏でた。
大きくふくれ上がった布団がもぞもぞと動く。
その中から一本、手が伸びて、目覚まし時計の頭を叩いた。
再び訪れる静寂─── やがて、布団のふくらみが動き出した。
星一「……もう朝か」
窓の外から差し込んでくる日光を見て呟いた、
星一「……今日……だな」
ベットの頭の所にある棚に置いた1つのモンスターボールを見た。
中では、これからのパートナー、ゴースが眠っている。
母「星一〜!ご飯出来たわよ!」
母の元気な声が一階から飛び込んできた。
星一「わかった、母さん。今行くよ」
ベットの上のモンスターボールをポケットにしまい込み、階段をかけおりた。

星一の母は結構若い。今でも29才だ。
16才の時に星一を生み、今星一は13才。
父はいない。母一人で星一を育て上げたのだ。
下へ降りると母は朝飯を机の上に運んでいる所だった。
こんがり狐色に焼けたトースト、今にも黄身が破れだしそうなベーコンエッグ。
どれもこれも今まで食べ続けていた物だった。
星一「おはよう、母さん」
星一が席についた。古い椅子がギッと音をたてる。
母「おはよう、星一」
星一「母さん?どうしたの?」
星一がパンをかじると、サクッという音がリビングに響いた。
母「いや、もう星一も旅立つんだなぁ…って」
星一「…」
居間にはさっき焼かれたばかりのベーコンエッグの匂いが広まる。
母「ホラ、あんたの父さんも私と結婚してお前を生んだら
  すぐにポケモンマスターになる──なんて言ってこの家を出て
  まだ、帰ってこない……」
母の目から涙がこぼれ落ちそうだった。
星一「母さん、俺は必ずポケモンマスターになって帰ってくるよ!」
母「な〜に言ってるの!あんたなんかがポケモンマスターになれるわけないでしょ!」
母が手を左右にふるアクションをとる。
星一「大丈夫だって!俺にはこのゴースがいるんだぜ!」
星一がモンスターボールを差し出す。
中ではゴースがまだ居眠りを続けていた。
母「確かにゴースは強いよ、それは私が一番知ってるさ
  でもゴース一匹じゃ、タイプの差で負けちゃうことだってあるんだ」
星一「う゛……確かにそうだけどさ…」
トーストをかじりながら星一が答える。
母「まあ、とりあえず言ってみなくちゃ分からないね!
  さあご飯食べたらもういきな!!」
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星一「じゃあ、母さん行ってくるよ!」
机に置いたモンスターボールをポケットにいれ、星一が椅子から立ち上がった。
母「ハイよ!頑張ってきな!」
ドアを開けると、ドアの前に数匹いたポッポがいっせいに飛び立った。
風は穏やかで、空は青く、旅立ちの日には絶好の天気だった。

そして、しばらく歩き進めると、後ろから声が飛んできた。
??「オ〜イ!待つんじゃあ〜〜!!」
あわてて星一は振り向いた。
星一「…オーキド博士!」
オーキド博士は星一の家の近所に住んでいる博士だ。
いつも白衣を着ているが、どことなく黄ばんでいる。
オーキド「星一君、ポケモンマスターへの旅に出るんじゃってな」
星一「は、ハイ……」
オーキド「それなら是非渡したい物がある!ちょっと研究所まで来てくれ!」
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オーキド「こっちじゃ、星一君……」
そこには人影があった。
星一「………大和!?」
大和「なんだよ、星一も呼ばれたのか」
あの日から、大和もポケモンマスターを志すようになっていた。
ちなみに手持ちのポケモンは「ケーシィ」だ。
オーキド「さて、星一!大和!これからポケモンマスターへの旅に出るために…」
大和「説明は良いよ、おじいちゃん。早く用件を言ってくれ」
オーキド「そう、せかすな…よかろう。とにかく…これじゃ」
オーキドはそう言って二人に赤い板の様な物を渡した。
フタみたいなものを開くと液晶画面が現れた。
星一「・・・・これは?」
裏側を見ながら訪ねた。
オーキド「ポケモン図鑑といってな。ポケモンに逢うたびにそのデータが記録される。
     そこで!その図鑑をポケモンで埋めてきて欲しいのじゃ!」
星一「……あのー、博士?一口にポケモンといっても150はいるんですけど…」
大和「なんだ、星一。ビビってるのか?」
星一「んなワケねーだろ!」
大和「よーし、じゃあどっちが先に埋められるか勝負だ!」
大和が図鑑を星一の前につきだして言った。
星一「望むところだぜ!大和!」
オーキド「しかし、二人とも。持ちポケが一匹じゃちょっと少ないと思ってな。
     そこでわしから………プレゼントがある」
そういってオーキドはモンスターボールを3つ差し出した。
オーキド「この中のどれか一匹をお前らにやろう」
星一「ホント?じゃあ、俺はコレ!」
星一が取ったものはカエルの背中に種が生えたようなポケモンだった。
ボールの中から星一の方を見て、嬉しそうに笑っている。恐らく草タイプだろう。
大和「んじゃぁ、俺はコレ!」
大和のはしっぽに火がついているトカゲ・・・みたいなポケモンだった。
オーキド「フム、星一のはフシギダネ!大和のはヒトカゲというポケモンじゃ!」
星一「さあて、行くか!ゴース、フシギダネ!」
フシギダネの入ったボールをポケットに入れる。
大和「まてよ星一!せっかくポケモンを貰ったんだ!勝負でもしようぜ」
星一「お、いいな!」
星一が、ボールをポケットから取り出した。
大和「行くぜ!」
大和の放ったボールが弧を描いて地面に落ちた。
星一の初めてのトレーナー戦が始まった…
大和「勝負は2対2!行くぜ!」
星一「OK!」
大和がボールに手をかけ、威勢良く投げる
大和「いっけぇー!ヒトカゲ!」
ヒトカゲがボールから出る。
ガッツ溢れるポーズをしながら、小さく鳴き声をあげる。
そのしっぽに燃えている炎のごとく、ヒトカゲは燃えていた。
星一「よし!行け!ゴース!"催眠術"!」
ヒトカゲは眠ってしまった。その場にへたり込む。
大和「ヒトカゲ!」
星一「この隙に…ゴース!"ナイトヘッド"!」
一瞬空間がゆがみ、そのゆがみがヒトカゲにあつまる。
その瞬間、ヒトカゲはダメージを喰らった。
大和「クッ…行け!ケーシィ!」
ケーシィ。大和の相棒だ。レベルは結構高い。
いつも目をつぶっているため、やる気の程は解らないが。
星一(こっちはゴースにもフシギダネにも「どく」
   タイプがある…エスパーには不利だな……)
大和「ケーシィ!"ねんりき"!」
ケーシィが力を込めると、ゴースのHPが減りだした。
効果は抜群。ゴースには十分ワザが効いていた。
少しゴースが表情を歪めた。
星一「ゴース!"舌でなめる"!」
ゴースが大きい舌をだして、ケーシィの頬をなめる。
ケーシィの動きが鈍った。麻痺したらしい。
大和「まだまだ!"サイケこうせん"!!」
ケーシィから、オーロラの様な色の光線が発せられた。
そして、それがゴースに直撃する。みるみる内にHPが減っていった。
星一「なっ!!」
ゴースが倒れた。サイケ光線なんてかなりレベルの高いワザだった。
星一(ゴースが倒されたのにフシギダネで倒せるか!?…とりあえずは…)
星一がポケットからもう1つのモンスターボールを取り出した。
大和(フフ…勝った)
それを地面に投げつけると、中からフシギダネが出てきた。
星一「フシギダネ!"体当たり"!」
ケーシィはやや後ろに吹っ飛びそうになるが、念でその衝撃を和らげた。
大和「そんな攻撃、痛くもかゆくもないぜ!"サイケ光線"!」
先ほどのこうせんがフシギダネに当たり、フシギダネが吹っ飛ぶ。
星一「フシギダネ!」
なんども攻撃を喰らい、フシギダネのHPが尽きてきた…
星一「クッだめだ・・・"体当たり"や"なきごえ"それに
   "やどりぎのたね"じゃあ勝てない…」
そう思って星一がポケモン図鑑のワザ一覧を見たときだった。
見たことのないワザがあった。
"ツルのむち"─"やどりぎのたね"の下にそうかかれてあった。
星一(ツ、ツルの・・・・むち?なんだ?このワザ・・・)