新井星一物語ポケモン編第十話:シオンタウンのドライマー
星一「ふはぁ!やっと抜けられたな!」
光「ウン、助かったぁ……あ」
雨が降り出してきた。結構強めだ。
星一「やべぇな、風邪ひいちまうぞ、
   近くにシオンタウンがあるから急げ!」
   
−ポケモンセンター−
星一はタオルで頭を拭きながら呟く。
星一「すっかりぬれちまったなぁ……」
光「ホント……」
光もくしで髪を整えながら話す。
星一「この町はポケモンタワーっつって
   まあ、なんというかポケモンの墓があるんだ」
光「うん………」
星一「でもな………」
光「…………?」
星一「なんかな……"出るらしいんだ"」
光「"出る"………?」
星一「ああ、噂だとポケモンの幽霊が………」
光「や、やめてよ………」
困惑の表情が隠せなかった。
星一「ま、まあ行く気はないけどさ」
光「あ、そう」
光の顔がいくぶん和んだ。
??「相変わらず仲がいいですね」
声が後ろから飛んでくる。懐かしい声だった。
星一「あ、瞬じゃないか!」
瞬「二人とも、お久しぶりです。タマムシ行く途中に少し
  寄ったんですけどなかなかの偶然ですね。」
光「瞬さん久しぶりです!」
瞬「で、お二人はすぐタマムシへ行くんですか?」
星一「いや、ちょっと寄りたいことがあるんでな………」
瞬「そうですか、じゃあ、先に行ってますね
  すこし、気になる情報があるんで」
瞬がドアを開けてタマムシへ走っていった。
星一「でさ、ホントに行きたいのはポケモンタワーの
   近くにドライマーって人が住んでるんだ」
光「ドライマー?その人なんなの?」
星一「なんか、カントーで一番ゴーストタイプを極めてるらしい」
光「へぇ………」
星一「それでさ、俺のゴーストも見せて貰おうかと思って」
光「じゃあ、いこっか」
星一「ああ」
雨は幾分か止んでいた。

−ドライマー宅前−
その家はコレと言った様子もなく、普通の一軒家だった。
星一「ここか………」
光「ウン」
星一「じゃ、呼び鈴おすぜ」
ピーンポーン………
何も返ってこなかった。
もう一度押す。
インターホンから気怠そうな声が聞こえてきた。
ドライマー『………ハイ』
星一「あの、ドライマーさんのお宅ですよね?」
ドライマー『そうですけど………何か?』
星一「えっとですねぇ、あなたがゴースト系に詳しいと聞いたんで
   是非、ボクのゴーストを見て貰おうか」
そこまで言ったときだった。
ドライマー『ゴースト?ゴーストですか!!??』
声の調子が変わった。
星一「は、はい……」
ドライマー『今、行きます!待っててください!』

ドアが開いた。
Yシャツ姿の青年だった。
ドライマー「すいません、ちょっと仕事から帰ってすぐ
      寝てしまったものですから………」
星一「いえ、こちらこそいきなり押し掛けてしまって……」
ドライマー「いや、どうもどうも、ゴーストを見るんですよね?」
顔が完全に見えてきた。
光(!?……星一に……似て………る?)
少しくせっけ気味だがどことなく星一に似てる。そんな気がした。
星一「あ、はい。お願いします」
そういってボールからゴーストを取り出す。
ドライマー「お、これは………」
星一「………どうですか?」
ドライマー「うん、なかなか良く育ってるよ。
      ……で?これはゲンガーに進化させるのかい?」
ゲンガーはゴーストの進化系だ。人と一旦交換しないと
進化しないので、意外と貴重な種類である。
星一「あ、はい。出来れば」
ドライマー「ふうん……じゃあ、一日このゲンガーをボクに
      くれるかな?夕方には返すよ。
      勿論、ゲンガーとして必要なこととかを
      特訓するつもりだし、
      そうすれば進化もするだろうしね。」
星一「あ、そうですか?ヨロシクお願いします!」
ドライマー「じゃあ、この町の下の方に吊り橋があるから
      この竿で適当になんか釣ったりして
      暇つぶしをしてきてくれ」
星一「どうも」

−つりばし−
光「かからないね」
光が少し焦りながら呟く。
星一「………釣りは忍耐だ」
光「それもそうね♪」
ブルブル……
光「星一!?」
光が竿をひこうとする。
星一「慌てるな光!ここで焦ると負けだ!」
光の手が止まった。
星一「……まず、相手を泳がして弱らせてからひくんだ」
光「………」
星一「……今だ!!」
波間から表れたのはドラゴンポケモンのタッツーだった。
星一「あれ?この辺にタッツーなんか泳いでたっけ……?」
確かにそうだ、海流の向きでも変わったのだろうか。
星一「とりあえず……モンスターボール!」
少しボールの中でタッツーが暴れたがじきに静かになってきた。
星一「とりあえずゲット……だけど、この辺タッツーなんか……」
光「いいじゃない!タッツーゲット出来たんだし!」
星一「それもそうだな。ヨロシク!タッツー」
星一がタッツーの入ったボールを夕日にかざす。
タッツーが赤く染まって見えた。。

−シオンタウン−
星一「ドライマーさ〜〜ん!」
ドライマー「おお、星一!ゲンガー進化したぞ」
星一「ホントですか?」
ドライマー「ああ、ほら」
モンスターボールを差し出す。
星一「でてこい!ゲンガー!」
中からゲンガーが出てきた。
ドライマー「そうそう、”ゆめくい”覚えたから戦力になると思うぜ」
星一「ありがとうございます!」
ドライマー「おうよ。また、ゲンガーの事でなにかあったら
      ココへ来いよ。いつでも対応するからさ」
星一「ハイ!ありがとうございました」
ドライマー「じゃあな」
星一「さようなら!」
光「ありがとうございました!」
二人は夕暮れの町を西へ向かって駆けていった。

ドライマー「…………星一か、懐かしいな………」
ドライマーは一人だけになった自分の部屋で
ただ、一言そう呟いた。