新井星一物語ポケモン編第二十話:紅の不死鳥、ファイヤー
−三階−
星一が氷の固まりをさわってみる。
星一「でかい……それにヤケに冷たい。よほどの氷ポケモンが………」
キョウ「久しぶりだな、星一。ククク………」
星一「お前は……お月見山での……」
瞬時にボールを構える。
キョウ「ククク……あの時生かしてやった分………強くなったのか?」
星一「お前の名前は?」
キョウ「そうか、そうか、名のったことはなかったな」
モンスターボールを片手に取り出した。
星一もモンスターボールを取り出す。
キョウ「我が名はキョウ!勝負だ星一!!」
フリーザーが中から飛び出した。
星一「さっきの氷の攻撃はこいつの仕業か!」
星一はゲンガーを繰り出した。
星一「ゲンガー!"ナイトヘッド"!!」
キョウ「フリーザー!"ふぶき"!」
ゲンガーの足下を氷で固定した。
星一「ゲンガー!"シャドーボール"の反動で抜け出すんだ!」
ゲンガーが"サイコボール"をフリーザーに放つ。
その反動でゲンガーが氷の枷から抜けられた。
キョウ「フリーザー!"れいとうビーム"で壁を創れ!」
氷の壁が"シャドーボール"を弾く。
星一「ゲンガー!もう一度"シャドーボール"!!」
紫の球が打ち出される。
キョウ「フリーザー!もう一度壁を創れ!」
今度は少し氷壁がえぐれた。
キョウ「(何!?どういうことだ?氷壁が少しえぐれている……
     念には念を入れておいた方がいいな)
    フリーザー!部屋ごと凍らせろ!!」
星一の周りも氷壁に包まれ、よく見えなくなってしまった。
天上まで氷壁がつたっている。
星一「敵がどこから来るか分からない……」
星一がゲンガーをシードラに替えた。
星一「シードラ、"ハイドロポンプ"で氷壁が貫けるか
   やってみてくれないか?」
シードラがコクン、と頷き、"ハイドロポンプ"を放つ。
バキバキ!と音を立て、氷壁が崩れるが、
放った"ハイドロポンプ"が逆に凍ってしまい、氷壁がなくならない。
キョウの声が氷壁の中で響く。
キョウ「"ヘドロばくだん"!!」
何処にいるのかまでは分からないが、氷壁の砕ける音がした。
振動が向こうから来るし、恐らくそちらのほうからだろう。
星一の周りの氷壁がミシミシと音を立てていた。
星一「なんだ……??」
ドォン……
また、振動が響く。
氷壁が再び、ミシミシ言い出した。
星一「や、やばい……崩れる」
ドォン!
三度目の振動。
その瞬間、氷壁が全体的に割れだした。
星一「崩れだしたか……!」
氷壁が音を出して崩れていく。
星一「敵はどこだ?」
キョウ「ククク、こっちだ!"れいとうビーム"!」
青白い光線が背中に直撃した。
星一「グッ!」
背中の動きが鈍くなる。
キョウ「まだまあァッ!もう一度"れいとうビーム"だ!!」
星一がどんどん氷にうまっていき、氷付けになった。
といっても、体が凍ったのではなく、氷で囲まれただけなのだが
星一(……………)
星一は氷に囲まれながらも考えていた。
星一(伝説のポケモンは……)
フリーザーの方をちらと見る。
星一(伝説のポケモンは誇り高く、よほどの優れた人間の下でしか
   働かないポケモン。そのポケモンが悪事に手を貸そうとしている…
   おかしい。R団がなんらかの方法でフリーザーを操っているのか?)
そう、思い、新たにフリーザーの体を見渡した。
すると、フリーザーの首に、黒い輪が付いていた。
星一(まさかあれで操っているのか?
   違ったとしていても試してみる価値はあるな…)

−七階−
星一がキョウと戦う少し前のことだ。
龍之介はミュウツーの実験室を探して歩いていた。
すると、大きい鏡のある部屋に出た。
龍之介「なんだぁ、この馬鹿でかい鏡は」
鏡の中に、赤い固まりが見えた。炎だ。
龍之介「メタモン!」
素早く固まりをよけ、メタモンを出した。
??「ハーハッハッハッハ、
   もうミュウツー計画は最終段階に突入している!」
龍之介「なんだと!?」
そこには一人の男と、伝説のポケモンファイヤーがいた。
カツラ「私の名はカツラ!」
龍之介「カツラ?お前、元ジムリーダーか!?」
カツラ「フン、そうだが。それがどうした」
龍之介「お前ポケモンいたぶって楽しいかよ」
カツラ「ダマレこわっぱ!お前に何が分かる!」
龍之介「さぁてね、さっぱりわからねぇ。メタモン!"へんしん"だ!」
メタモンがファイヤーに変身していく。
カツラ「所詮、二番煎じ。どこまで通用するかな」
龍之介がファイヤーの首に付いている輪に注目していた。
龍之介(あれは…一体なんなんだ?
    とりあえず……壊す勝ちはありそうだな)
リザードンをボールから出した。
龍之介「リザードン!"火炎放射"だ!!」
カツラ「無駄だ」
ファイヤーがいとも簡単に跳ね返した。
カツラ「こちらの番だ!"ほのおのうず"」
うずが龍之介を取り囲む。
幾分か煙も立ちこめてきた。
龍之介の姿がカツラにはうっすらとしかみえない。
カツラ「煙で身を隠そうという魂胆か!?
    ファイヤー!"火炎放射"でけむりを蹴散らせ!!」
その瞬間、白い粉が龍之介のいたあたりから舞い上がった。
カツラ「こ、これは・・・消化器か!?」
一瞬にして視界が奪われた。
龍之介「ピンポーン。よくわかったね」
龍之介の声がどこからか聞こえてくる。
龍之介「こんなハイテクなビルに消化器一つないんで、おかしいなと思って
    火であぶったら見事に壁の中から消化器が出てきました」
カツラ「しかし、ファイヤーには消化器は効かないぞ!」
龍之介「ニブイなぁ、オッサンも。狙いは別の事だっての」
カツラ(別のことだと?ハッタリかもしれんが……
    この場合に考えられるパターンは
    1."へんしん"したメタモンで倒しに来る。)
    2.全てのポケモンでねらい打ち
    3.ただのハッタリ。または時間稼ぎ
    だ。
    恐らく、1か2だ。一体どちらが……
    2の場合だとポケモンを出す音が少なからずとも
    するはず、つまり、音がしなければ1だ!
    ここはファイヤーにパワーを溜めさせておくのが賢明か……)
白い粉が薄れてきた。一向に音がしない。
カツラ(よし、1だ!)
すると、粉の向こうから、ファイヤーが見えた。
カツラ「(そこか!)ファイヤー!"かえん・・・"いや、マテ!」
ファイヤーがビクッとし、攻撃をやめた。
カツラの向こう側にあったのは鏡だった。
カツラ「この鏡に騙されていたら、不意打ちを食らってたな・・・
    つまり、本物は後ろの方に?!」
カツラとファイヤーが後ろを振り返る。
その瞬間、鏡が紫色になり、少し、グニャリと動いた。
龍之介「ヨシ!メタモン!"へんしん"!"かえんほうしゃ"」
カツラ「な!?」
慌てて振り向くが、もう遅かった。
カツラのファイヤーは直撃を首にくらい、戦闘不能のようだった。
カツラ「……鏡はメタモンの"へんしん"だったのだな。
    それとお前は最初から首輪に目を付けていたのか?」
龍之介「んー……まあ、目立ってたから攻撃しただけだけどな」
カツラ「あの首輪はポケモンを洗脳し、トレーナーの思いのままに
    操るリング。私が組織に命じられ、創った物だ」
龍之介「………」
カツラ「こんな物で闘ってもつまらない
    やはりポケモンとココロが通ってないとな」
龍之介「ああ、そうだな」
カツラ「それにしてもファイヤーの強さは完璧だったはずだ……」
龍之介「オッサンオッサン。ポケモンバトルは
    ポケモンの強さじゃ決まらないって事よ」
カツラ「ポケモンの強さが強さじゃない……か
    ふ、ファイヤーを倒されてしまったか。先に進め、龍之介」
龍之介「オイ、マテよ。バトルはこれからじゃねぇのかよ!?」
カツラ「私の持ちポケにファイヤー以上の物はない
    それに、負けた私はR団から外される」
龍之介「な…!?」
カツラ「究極の強さを求めて入ったR団だったが……単にポケモンの強さ
    だけが強さじゃないな。お前のようなトレーナーに会えて嬉しいぞ。
    間違った信念を持っているR団を潰してくれ!龍之介!」
龍之介「あ、お、オイ!」
龍之介の声など無視して、カツラは去っていってしまった。
龍之介「ったく・・・なんなんだ?一体」
龍之介がファイヤーに目をやる。
龍之介「残ってたっけなー……こないだいっぺんに使ったからな・・・
    っと……あったあった」
ポケットから取り出したかけらをファイヤーにそっと近づけた。
ファイヤーの顔に見る見る活気が出て、目を覚ました。
龍之介「おぅ、起きたか。"げんきのかたまり"で一応
    回復させといたからな。達者でくらせよ」
階段を上ろうとした龍之介をファイヤーが切なげに見つめていた。
龍之介が足を止めてファイヤーに言った
龍之介「来るか?一緒にR団をぶっ潰そうぜ!」
ファイヤーがコクと頷き、龍之介の近くで羽ばたいた。