ポケ編第5話「星一あらわる!」
オフの季節がやってきた。

−路地−
塚本「よお、日隆生」
塚本は今の小杉に話しかけた。
小杉「あ!塚…………どなたですか?」
塚本「オイオイ、とぼけたって無駄だぜ。
   お前と小杉の中身が入れ替わったってことはお見通しだ。
   状況を科学的に分析すればそうなる」
小杉「科学的!?ハハ、そんなことが科学的だって?」
塚本「もちろん。科学っていうのはな、
   先入観を除外するのが出発点なんだよ。
   UFOや幽霊だって、ちゃんと観測されれば、世界中の
   科学者が、よろこんで研究対象にするぜ」
小杉「何が目的だ、金か?」
塚本「別にお前をゆする気はねえよ。
   だが、真相を知っている人間がそばにいると、
   お前も気が楽だろう?」
小杉「え?………まあ、たしかにそうだな。
   実は何度かボロを出しそうになって
   ヒヤヒヤしたこともあるんだ」
塚本「ハハハ、これから仲良くやろうぜ!」

−クリスマス−
恵理「メリークリスマス!もう、今年も終わりだね」
日隆生(そうか、体が入れ替わってからもうそんなになるんだな。
    やっぱり……中身が入れ替わっていることを話すべきだな。
    正体はなるべく……って星満先輩も言っていたけど、
    この子を騙し続けるのはオレもつらい)
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日隆生「つまり、君がつきあっていた、日隆生という人間は、
    今は小杉という名前なんだ」
恵理「小杉?小杉さんっていうのね?その人」
日隆生「え?ああ、そうだけど」
恵理「小杉さんって……美人なの?」
恵理が目をそらしながら言った。
日隆生「………はっ、はいぃ?!」
恵理は勘違いをしている。しかし、彼女は止まらなかった。
恵理「わかったわ。私よりも、いい人なのね」
日隆生「え、えーと、その……
    何か致命的な勘違いしてない?」
しかし、恵理は涙を流して走っていってしまった。
日隆生「……あのー、おーい?」
ソムシー「おい、偶然見てたぞ、お前。この女の敵めー!」
(ドカバキボコ)
日隆生「痛い…どうしてこんなことに……」

−バッティングセンター−
日隆生「いたた……ソムシーのヤツ思いっきり殴りやがって…
    にしても、恵理が勘違いしてたからなぁ……」
日隆生が自動販売機でスポーツ飲料を買う。
星一「あれ?小杉じゃないか」
星一が後ろから話しかけてきた。
日隆生「あ、星一先輩。こんにちわ」
星一「何やってんだ?こんな所で」
日隆生「何って……バッティングの練習ですよ、
    オフとは言え、感覚は残しておかないと」
星一「へえ、前はそんなことしたことないヤツだったのにな」
日隆生「ハハ……それより、小杉って呼ぶの止めて貰えません?」
星一「ああ、そうだったな。……なんか、お前顔腫れてない?」
日隆生「あ、ああ……これは」
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星一「はは!それでその恵理ってヤツの友達に殴られたのか!」
日隆生「わ、笑い事じゃないですよー!恵理には勘違いされたままだし、
    ほっぺたはもの凄く痛いし……」
日隆生がほほをさすりながらうなだれた。
星一「ま、恵理ってヤツにはちゃんと説明しとけよ。
   さて、オレはちょっと打ってくらぁ」
日隆生「あれ?打ってもいいんですか?肘は?」
星一「ああ、打つくらいなら別に構わないそうだ。
   最も、限度はあるそうだが」
日隆生「それより、今年も星満先輩は凄かったですね」
星一「HR57本だろう?全く…俺もうかうかしてらんねーな」
日隆生「はぁ・・・、オレも早く一軍に上がりたいなぁ…」
星一「練習あるのみだな!日本シリーズで待ってるぞ!」
日隆生「はい」
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係員「球は何q/hにしますか?」
星一「160って出来ますか?」
係員「ひゃ、ひゃくろくじゅう!?まあ、出ない事もないけど……」
星一「じゃあ、お願いします」
係員「ひぇ〜驚いたなぁ……」
星一「復帰した年は、五割目指すぞ……」
日隆生「ご、五割!?」
星一「ああ、その為には猪狩や大和の球を
   打たなきゃならん。アイツら広島戦に照準を合わせてるからなぁ…
   160で打てれば……」
一球目。打球はピッチャーゴロとなった。
星一「はは、やっぱり無理か。160は」
日隆生(あ、当てた……160に)
二球目。セカンドを越えるヒットとなった。
星一「よし、とりあえずこんな物かな……
   にしても、やっぱ160は速いなぁ……」
日隆生「凄い……凄すぎる。オレも一年目は
    打率.340だったけど、大和さんの
    速球だけはかすることも出来なかった……」
星一「よっ!」
センターフライ。徐々に飛距離が伸びてきている。
そして、10球目。
星一「……おし!」
バッティングセンターに快音が鳴り響いた。
福岡ドームでもHRになってるような当たりだった。
日隆生「す、凄いですねやっぱり、星一先輩は違うなぁ……」
星一「ふう…ま、オレはこんなもんかな。
   でも、星満だったら、広島市民球場だったら
   軽く場外やらかすからなぁ……やっぱ、アイツもスゲェよ」
日隆生「そうですね、場外は見慣れてしまいましたね……
    でも、160だったらそう簡単には……」
星一「いや、こないだ市民球場で打ってた。だから、今日来たんだ。オレ」
日隆生「す、凄いですね、星満さんも、やっぱり……」
星一「さて、オレは帰るかな。
   あんまりやっても肘に悪いからな。
   ところで、お前はどうするんだ?」
日隆生「あ、もう少し残ってやっていきます。
星一「そうか。じゃあな」
星一が向こうへと歩いていった。
日隆生「オレも……やってみるかな、160」
結果が全て空振りだった事はいうまでもあるまい。

そして、正月を迎えた。
恵理「あけましておめでとう。
   今年もよろしくお願いします。
   ………………………………」
恵理はじっとオレの方を見てきた。
日隆生「どうしたんだい?」
恵理「へへ、なんだかお正月を一緒に過ごせるのが嬉しくて
   最近、日隆生さん優しいし」
日隆生「そ、そうかな」
恵理「あ、あっちでなんだか面白そうな芸をやってるよ!見に行こうよ!」
足早に恵理は駆けだした。
日隆生(なんだか、どんどん別人だと言い出しにくい状況になってるな)
そして、春季キャンプの時期がやってきた。