ポケ編第6話「日隆生と恵理、悲しき関係」
日隆生「さあ、春季キャンプだ!
    ところで、あの人だかりはなんだ?」
凡田「ええ!?知らなかったでやんすか。
   オーナーの息子、の大神君がここに来てるんでやんす」
日隆生「なんだって?」
(ガヤガヤガヤ)
北条「さすが、輝きからして違いますね。
   大神君のような即戦力の加入は実に心強いよ、うん。
   君がプロ野球に名前を残すのに是非とも協力させてもらうよ」
凡田「北条監督、なにを歯の浮くような事いってるでやんす!
   オイラ、一度でいいからあんあこと言われたいでやんすー!」
日隆生(オレ、小杉だったころは、ああいう扱いを受ける立場
    だったんだけどな。…今の境遇から見ると、なんだか腹が立つな)
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古沢「オイ、日隆生ちょっといいか?」
日隆生「ええ。監督も大神のことで大変そうですね」
古沢「いや、話は大神じゃなくて、お前のことなんだ。
   オレの見るところ、お前は一軍に上がっても十分
   やっていける、だが、北条監督の目に止まらないと、
   永久に一軍にはあがれない」
日隆生「でも、北条監督はめったに二軍に来ないじゃないですか!」
古沢「いや、実はこっそり練習を見に来たりしてるんだよ」
日隆生「そうだったんですか?」
古沢「だから、まずは練習を頑張るんだ。
   それと、北条監督と接触する機会はたしかに少ないから、
   チャンスは逃すんじゃないぞ」
日隆生「はい!」
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凡田「小杉選手16試合連続ノーヒットでやんすよ。
   スランプなんでやんすかねぇ」
日隆生「え?」
水木「おいおい、それどころじゃないぞ、
   さっき入ったニュースだと、ファンと喧嘩しおて
   相手を殴ったらしいぜ。新井と新山が止めたから
   騒ぎもそこまで大きくもならなかったらしいんだが…」
凡田「えっ!それじゃあ、しばらくの間出場停止でやんすかね」
水木「まあ、最近いい気になって態度が悪かったらしいからな…
   確か……昨シーズン一試合3ホーマー打った日からだったな」
日隆生(ギク)
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そして、7月にオレは一軍に昇格した。
日隆生「オレは、小杉だったときは最初からずっと
    一軍だったからこういう感動ははじめてだな。
    よーし、頑張るぞ!」
そして、一軍での初試合。相手はロッテだった。
結果は五打数二安打まあまあな結果に終わった。

そして、8月のある日、事件は起きた。
日隆生「あー恵理?どっか遊びにいこうか」
オレはいつもの様に恵理をデートに誘った。
返事は勿論OKだった。
恵理「あ、ニュースでプロ野球やってるよ」
日隆生「プロ野球じゃなくて甲子園大会だな」
恵理「え?……あ」
恵理が申し訳なさそうな顔になった。
日隆生「チームは…聖皇学園か。ピッチャーの一文字と
    キャッチャーの陽崎がとにかく良いんだよなぁ…
    コイツ等とは三年の時に対決してさぁ…
    ………なつかしいなぁ」
恵理「…………?」
日隆生「地方大会でも決勝戦とかだと
    それなりに人が来たりするんだけど、
    甲子園は別世界だったよ。
    2年生のときにはじめて出場したんだけど
    1回戦なんて、三振5つでさ……」
恵理「???」
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恵理「じゃあ、またね!」
恵理は1人になってから呟いた。
恵理「……行ってないよ、甲子園。だから、前は
   甲子園の話が出たらすごく怒っていたのに……
   でも、今日は本当に甲子園に行ったみたいな
   話し方だったし……うーん?」
   
−翌日−
恵理は新聞を広げてのんびりとしていた。
恵理「へへ、新聞に日隆生さんのこと、載ってないかな〜
   ……………
   もー、関係ない選手の記事ばっかり!
   あれえ……小杉優作……?
   どこかで聞いた名前だけど?
   えっ?甲子園初出場の試合で5三振!?」
この時、恵理の頭の中に1つの予測が立てられていた。

−小杉の部屋−
小杉「くそっ、なにが
   "当社のクリーンなイメージに合わないので
   契約をうち切ります"だ!」
小杉の投げた瓶は弧を描き、壁にあたり砕けた。
塚本「おやおや、またコマーシャルからおろされたのか?
   困るなぁ、そんなんじゃ。お前の金はオレの金なんだからよ」
小杉「なんだと?口のききかたに気を付けろ、
   この薄汚いダニ野郎が!」
塚本「キシシシシッ、うれしいねえ。
   そいつは誉め言葉ってヤツだ。ところで……知ってるぜ。
   お前、最近試合に出るの怖がってるだろ。
   まあ、星一や星満の活躍も凄いし、あの成績じゃあ無理もないな。
   それにしても、酒は飲み過ぎだし気晴らしにも少々度が過ぎるぜ」
小杉「うるさい!」
小杉は寝室へこもってしまった。
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−翌日の土手−
恵理「…日隆生さん、本当に変わった。
   はじめて、ここで日隆生さんに会った時は……」
   
−一年前−
恵理「大分、涼しくなったなぁ……もう、9月も終わりだもんなぁ……」
恵理が、しばらく歩いていると、歌が聞こえて来た。
見ると、男が寝そべって歌を歌っていた。
×××「夏が過ぎ、風あさみ、誰の憧れに、さまよう
    8月ははなみ〜」
恵理「"8月は夢花火"よ。花見じゃ春じゃない」
×××「んだよ、別にいーじゃねーか!花火だって、花見だって!
    だいたい、お前誰だよ!」
恵理「私は恵理。あなたは?」
×××「オレは、日隆生。立ヶ析日隆生だ。
    オレは眠いんだ。さっさとあっちへ行け」
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恵理「……今の日隆生さんは、とっても優しくて好きだけど、
   昔のワイルドな日隆生さんも………」
××「夏が過ぎ、風あさみ…」
草で影になっている所から歌声が聞こえだした。
恵理「!……この歌」
××「誰の憧れにさまよう、8月は夢はなみ、
   わたしの心は夏模様……」
恵理「日隆生さん!」
そこに寝ていたのは小杉だった。
小杉「……!」
恵理「この歌、この場所、この間違え方……日隆生さんなのね?」
小杉「し、知らない、日隆生なんてオレは知らないぞ!」
小杉は走って逃げていった。
恵理「日隆生さん………」

−翌日−
恵理「うぇっ……えっ……」
ソムシー「あのね、泣いてるだけじゃ、私なーんにも分からないよ」
恵理「あ、あたし……2人の人が好きになっちゃったの!」
ソムシー「なんだね、それ。でも、恵理にしては大胆だね!」
恵理「違うの」
恵理がソムシーの言葉を切った。
恵理「私は1人だと思ってたの」
ソムシー「???まあ、好きな人がいるのは悪い事じゃないよ」
恵理「でも、わたし好きな人に嘘付いてる」
恵理の目から、大粒の涙がこぼれた。
ソムシー「もー、恵理は真面目すぎるよ!
     ………どーしても、一人選ばないと駄目なのだな?」
恵理「え?ええ」
ソムシー「それなら、つきあいの長い方を選ぶといい。
     恵理は裏切りは耐えられないだろ?」
恵理「それって………うわぁぁぁぁん!」
恵理の目から再び涙がこぼれた。
ソムシー「……難儀だね、この子は」

そして、二年目の契約更改。大変な事件が日隆生を待ち受けていた。