新井星一物語高校編第二十話:甲子園〜決勝〜

決勝戦の試合時間が迫ってきている。 星一と星満はベンチに座りただ、その時を待っていた。 星一「・・・ついに決勝か」 星満「そうだな」 星一「・・・・今度は勝つぞ!」 星満「勿論!」 試合時間になり、サイレンが鳴り響く。 そして、両チームのオーダーが発表されていく。 ウグイス「城南高校、オーダーの発表です。      1番、ピッチャー、新井君、      2番、センター、ミッキー君、      3番、ライト、鴨方君、      4番、キャッチャー、新山君、      5番、ファースト、大山春東君、      6番、セカンド、大山夏西君、      7番、ショート、大山秋南君、      8番、サード、大山冬北君、      9番、レフト、阿畑君、      以上です。」 ウグイス「つづいて佐賀総合学園のオーダーを発表します      1番、レフト、坂尾君」 星一「何!!??大和じゃないのか?!    去年あいつはレフトだったぞ!??」 星満「・・・・・」 二人とも驚いた様子を隠せなかった。 ウグイス「2番、サード、三村君、      3番、キャッチャー、羽村君、      4番、ピッチャー、伊勢原君」 星一が再び驚いた。 星一「大和が・・・・ピッチャー!?」 星満「しかし、あいつの腕力から考えると    かなりの剛速球ピッチャーだな    フフ、倒しがいがあるじゃねぇか」」 ウグイス「5番、センター、筒井君、      6番、セカンド、加賀君、      7番、ファースト、椋岡君、      8番、ショート、斉藤君、      9番、ライト、御清水君」 ウグイス「一回の表、城南高校の攻撃です。      1番、ピッチャー、星一君」 星一(まさか俺が打者でやつが投手で    勝負するとは思わなかったな・・・) バッターボックスに入りながら星一が考えた。 星一「来い!大和!」 大和「フ・・・」 大和が振りかぶった 激しくボールが唸る。 星一(は、速い!しかし、ストレートなら打てる!) そう思い、思い切りバットを振ったときだった。 急にボールは下へ向かって落ちていった 星一のバットが空を斬った。 星一「カ、カーブ・・・・?あの速さでか?」 ベンチにいる星満が呟く。 星満「やべぇなあのカーブ・・・俺の目測でしかないが    最低でも165km/hは出てる・・・・    (いくら星一でも打てないかもしれないな・・・これは)」 大和「どうした?星一、こんなのはまだまだ序の口だぜ!」 星一「何!?」 大和「・・シンカーを投げてやるよ。」 星一「・・・え?」 大和「いくぞ!シンカーだ!」 星一(な、なめやがって!) 振りかぶって投げた。これも快速球だった。 星一(ちくしょう!何がなんでも当ててやる!) 星一のバットは見事にボールに当たった。 が、 ガキッ! 星一「何!?」 ボールがとても重く感じた。 ボールはファウルグラウンドに転がっていった。 阿畑「アカンな・・・」 ベンチで阿畑が呟く。 阿畑「あの大和っちゅうやつは星一ハンの持っている特殊変化球の特質を    球種が違うとはいえ、持っている。加えて    あの速さがあっては・・・打てへんかもしれへんな」 大和「さて・・・折角あえたんだ。もっと面白い物を見せてやるよ」 捕手から帰ってくるボールを取りながら言う。 星一「面白い物?」 星一が不思議そうに聞く。 大和「いくぜ!」 ものすごい球だった。空気をボールが切り裂きながら 飛んでくる。そんな感じを星一は受けた。 星一「クッ・・・」 大和の放ったボールの軌道は星一の振るバットと一致した。 星一「ヨシ!当たる!」 ブン! 星一「・・・・え?」 審判「ストラーーイク!バッターアウト!」 星一は驚いた。無理もない。バットにボールがカスリもしなかった。 軌道はあっていたのに・・・星一はそう思わざるをえなかった。 星一「どういうことだ・・・・?」 ベンチに戻り、星一が呟く。 星満「ああ、俺にもなんとなくしか分からなかったが    ”大和の球はホップしている”ように見えた」 星一「ホップ・・だと?」 星満「ああ、現にキャッチャーミットはボールの軌道の    やや上に構えていたからな」 星一「・・・・・フ、フフフ、ハハハハハ!」 星一が途端に笑い出した 星満「オイオイ、なんだよ、いきなり」 星一「いや、な。あの球ともう一回勝負できるかと思うと嬉しくてな」 星満「成る程。俺もあの球とは一度手ほどき願いたい物だ」 しかし、ミッキーは三振。 ムラッケの激しい鴨方もあえなく三振となった。 その次の佐賀総の攻撃は三者三振。星一にとって好調のスタートとなった。 そして・・・ ウグイス「城南高校の攻撃です。4番、キャッチャー、星満君」 歓声が高くなった。星満は甲子園で打率8割をキープしているからだ。 その好打者と大会一速い球を投げる大和。役者は十分にそろっている。 星満は二度三度素振りをしてバッターボックスに入る。 星満(・・・ホップするストレート、160後半の速さのカーブ、    そして重いフォーク・・・とりあえず打てそうなのは・・・・) 大和がボールを投げた。カーブだった。 星満(捕らえた!) カキーン! ボールがレフトスタンドへと飛んでいく。 歓声が一段と大きくなった。 実況「星満君の打った打球はレフトスタンドへ飛んでいきます!    入るか!これは際どい!入るか!入るか!」 星満「・・・・」 星満は歩かなかった。入らないのを確信したのか 切れるのを確信したかは分からなかったが。