新井星一社会人編 第九話:終結

星一は・・・・昔のことを思い出していた。
あの三年目の夏の甲子園の決勝戦、
極亜久高校が棄権したこと、
官僚大学に龍之介がいると聞いたが野球部には入ってなかった事。
そして・・・こっちに転勤してきたときの事を思い出していた。
龍之介と同じチームメイトになり、実力が知りたくなって
空き缶でコントロール対決した時のこと…
あいつは・・・あいつはいつも仕事さぼってばっかだったし、
いつでも俺と喧嘩していたな・・・・・・
でも・・・いつもいつでもアイツがいたな・・・
アイツなら・・・アイツなら絶対打ってくれる。

大和「(…駄目だ…こいつ…さっきとは別人……
    …!いや!迷うな伊勢原大和!お前の技量なら…勝てる!)」
大和「いくぞ汐瀬!!オレが勝つんだ!」
ビュゥゥゥゥンッッ!!
カッカクッ!


龍之介「オレを…オレをだれと思ってる…?
    オレは…オレは…汐瀬龍之介だぞぉぉ!!!」
カキィィィィィィィン!!!!!
大和「まさか!?」
猪狩守「は、はは…あいつ…とうとう……」
拓郎「入れやがったぞー!!!」
星一はベースに付きっぱなしで走らなかった。
星一(本当にやりやがったぜ・・・・アイツ)
ワァァァァァァァァァァッッッッ!!!!!
歓声はさっきより大きかった。
星一「チッ…やればできるんだから、オレの手をわずらわすんじゃねぇよ」
龍之介「フン…言っていろ。」
星一「………ありがとう…………龍之介」
龍之介「? 何か言ったか?」
龍之介は振り向いて言ったが、星一は驚いたようで、
あさっての方向を見ながら答えた
星一「は、早く戻れって言ったんだよ!」
龍之介「へいへい…お前も次の回、しくじるんじゃないぞ」
星一「ああ、分かっている」
そして9回の表
星一のボールは打たれた。
それならまだしも、運の悪いことに
星一の手首にボールが当たってしまった。
星一「う…ちっ…ちくしょう……」
星満「……右で投げるか?」
星一「いや…いい。このまま行く。アイツはこの左腕で倒す」
とはいうものの星一の腕の痛さは半端ではなかった。
龍之介「…………」
敵打者「チャンスだぞ!このスキに打ってしまおうぜ!」
敵打者A・B「オーーーッ!!!」
言葉通り、3人に打たれ、満塁となった。
しかも次の打者は伊勢原だ。
猪狩茂「…まずいな…守!いってやれ!」
猪狩守「…………………………いやだよ」
猪狩茂「何!?」
龍之介「……あ、先に断っておくけどさ、オレも行かないぜ」
猪狩茂「なんだと!?お前達何を考えている!!」
龍之介「別に…大したことじゃないさ。オレたちにあいつの
    勝負を邪魔する権利はないんだよ。たったそれだけだ…」
猪狩茂「監督命令だぞ!!早くいけ!」
龍之介「そうか…オレたちの意志はその程度なのかよ」
猪狩茂「何だと!」
龍之介「オレはもちろん星一も聞かないんだよ。奴は退部なんかどうも
    思っちゃいないんだ」
猪狩茂「く…いいだろう。今はあいつに任せる。そのかわり!この試合
    負けたらお前達にそれなりの処分をするぞ!」
龍之介「いいだろう」
猪狩守「わかってるよ」
龍之介「(……万に一つもありえないだろうけどな)」
星一は龍之介の方を見ていた
星一「(………龍之介…猪狩…すまない……………ありがとう)」
星一は全力で投げた。スタミナもつきかけなのに…
星一「ハァッ…ハァッ…ハァッ…ハァッ……」
大和「……打ってやるぞ…絶対に…」
疲れている星一の様子をみて、猪狩が言った
猪狩守「りゅ…龍之介君…」
龍之介「大丈夫だ。あいつは何があろうとな…
    だから俺たちはあいつに任せたんだろ?違うか?」
猪狩守「フ…そうだった…そうだったな」
猪狩は安心して星一を見た
龍之介「(とは言ったもののあれから10何球投げてる…大丈夫かな…?)」
ズバンッ!
大和「う!」
審判「ストライーック!バッター…アウトッ!ゲームセット!!!」
龍之介「や、やりやがったぜ!あいつ!」
ウワァァァァァァァッッッッッッ!!!!!
チーム全員が今まで聞いたことの無いほどの良い歓声をもらった。
日本選手権本大会決勝戦。

2対1

猪狩コンツェルンの勝利!!!!


星一「……すまなかったな。龍之介。あの言葉がなかったら…
   負けていたかもしれない」
龍之介「いや、オレも一緒だ」
拓郎「ほんっと、お前達があそこまで
   動揺するなんて…珍しいモン見せてもらったぜ」
そこで星満が星一の肩をにポンと手を乗せ、笑いかけた
星満「よかったな。星一…」
星一「……ああ!!」
猪狩茂「何をボサッとしている!!世界大会の準備をしていろ!!」
全員「オーォォォウ!!」