新井星一社会人編 第十話:龍之介の覚悟
龍之介「オイ、星一」
デスクワーク中の星一に龍之介が話しかける。
星一「なんだ?龍之介」
手を止めて龍之介のほうを向いた。
龍之介「茂のオッサンから連絡があった。
    お前、俺、星満、矢部、拓郎、進、守
    が全日本に推薦された。」
星一「おぅ、選ばれたのか、俺も」
まあ、大和と戦った今、キューバなんて興味はなかったのだが。

−そして−
星一「今日は後攻か・・・・」
星満「つっても、お前は投手での出番は無いかもな。
   まあ、ショートのほうガンバレよ」
星一「ああ」
そうだ、とりあえずここまで来たんだから頑張らねば。
これが社会人野球の最後の試合になるしな。
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岸本 「よくぞ集まってくれた!我が全日本がここまで来たからには
    必ずキューバに勝つ!!!いいな!」
一同 「オーーッ!!!!」
岸本 「じゃ、キャプテンから何か一言頼む」
龍之介「ん?(あ、そういや俺なんでかキャプテンになったのか)
    えーっと…絶ッッッッッ対に勝つぞ!!!」
一同 「勝つぞおおぉぉぉ!!」
星一「(フ、なかなか合ってるじゃないか)」
猪狩守「(ふふ……結構まとめてるじゃないか…)」
猪狩進「(……兄さん……)」
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まず最初猪狩は三者三振で終わらせた。順調な滑り出しだ。
1回裏。二人打ったが、その後、ピッチャーゴロ、三振、外野フライと続き
一点も入れずに終わった。

2回表。猪狩の調子が良いらしく、一回打たれたが、無失点だった。

2回裏。拓郎の打順だった。
ノーストライク ノーボール ツーアウト
投手「Haaa!!!!!!!!」
拓郎「っりゃぁ!」
ブンッ!!
カキィィィィィィン!!!!!
龍之介「入った!」
ワーーーーー!!!!
しかし、次の打者はアウトになってしまった。

0:1

龍之介「ところで監督、俺の出番はまだですか?」
猪狩茂「あぁ、おまえはまだ行かなくても良い」
龍之介「秘密兵器ってワケですねぇ〜♪」
星一「・・・ホントに出番があるかわからねぇけどな」

3表。猪狩守「てやぁっ!」
ブゥン!
審判「ストライーッ!バッターアウット!チェンジ!」

龍之介「へぇ?今回も三者三振。調子いいな、猪狩のヤツ」
3裏。拓郎の打順ではなかったが、さすが全日本。
星一の2ベースもあり、
マシンガン打線で1点プラスした。

0:2

4表。今度は三者凡退。
ふと、龍之介の方を見ると不安そうにしていた。
あの様子だと出番が来ないかと心配してるようだな・・・・
4裏。一人進んだのだが、景気よく回らずに無点。
5表。危なく2人も進んだが、守はピンチに強く
それから全員三振で終わらせた。

龍之介「次、拓郎回ってくるな」
拓郎 「ああ、また一発デカいのカマしてきてやるぜ」

5裏。拓郎のHRで3点目を挙げた。ただ、他は凡退だった。

3:0

6表。今度は二者残塁。ちょっと猪狩のヤツ疲れてきたかな?
6裏。同じように二者残塁。この差では油断が出来ないのがキューバだ
7表。ツーアウト満塁だ。
猪狩守「次は……ゴンザレス…超重量級のパワーを
    持っているんだったな……心してかからなきゃな」
ブゥゥゥゥゥゥン!!!!!
ストレートだった。
星一&星満「あ」
カキィィィィィィィィィン!!!
文句なし、場外ホームランだった……
星一「猪狩ィ、油断・・・というかあせりすぎたか、
   アイツがストレートに強いって忘れてたな」
星満「ああ、これは・・・結構でかいな」

猪狩守「し………しまった……」

星一「まずいな、冷静さを失っている」

4:3

7裏。みんなの気迫が強くなったが、点を取るまではいかなく、
二者残塁で終わった。
8表。猪狩の絶好の調子が崩れ、さらに1点許してしまったのだった。
猪狩茂「……ピッチャー交代だ!汐瀬!任せたぞ!」
龍之介「…………ああ…わかった!」
それからは全員三球三振。なんとか押さえた。
星一「(ま、龍之介ならこれくらいに抑えられるだろう・・・)」

5:3

龍之介「……次は拓郎か…頼むぞ……」
拓郎「よっし…打つぞ!!」
ブゥゥゥゥゥゥン!!
拓郎「フォークだな!!」
カキィィィィィィィィィン!!!!!
龍之介「よっしゃ!打ったぁ!!!」
ホームランだった。これで3打席連続ホーマー。
ちなみに拓郎にしては珍しくはないことだ。
しかしその後全員三振で終わった。

5:4

9表。三者凡退。一応抑えられたが、次の回で終わるかもしれない。
なんとかして2点いればければ…
9裏。ツーアウト。次の打順は星満。
星一「そろそろ一発かましたれよ。キューバの目を覚ましたてこい」
星満「合点承知っすよ〜〜」
そして打席に星満が入っていった。
星満「………よし……来い!!」
ブウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥンン!!!
星満「カーブか!」
カキィィィィィィィィィン!!!!
ホームランだ!
星満 「よっしゃ!ざまあみろだぜ!」
龍之介「ひゅぅ…これで同点か…ひとまずは落ち着いたぜ」
龍之介(……あれ?次……俺じゃないか……
    ……よし!!打つぞ!)
投手「Yeeeaaaaaaaaaa!!!!!!!」
ブンッ!
ブンッ!
龍之介「……………チ…」
龍之介(負けない。俺はその目標がために
    進んでいた。この程度で動揺しては……いけない!)
投手「Heyaaaaaaaaaaaaaa!!!!!!」
カキィィン!!!!!
審判「ファールボール!」
龍之介「ふぅぅ…落ち着け…落ち着け……」
投手「Ends this ball!!!!
   Yeaaaaaaa!!!!!!!!」
星一「(龍之介はこれからが強いんだ。終わりになるかよ)」
龍之介「っざけんなぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
カッキィィィィィィィィィィィンンンンン!!!!!!!!!
ビュゥゥゥゥン!
龍之介「はっ、入ったぁぁぁぁぁっ!!!」
ワアアアァァァァァァァァァ!!!!!!!!
俺たちの最後の戦いは大歓声で幕を閉じた。

5:6

全日本勝利!!!!!!

矢部 「龍之介くん!影山さんが呼んでるでやんす〜」
龍之介「……ああ、今行くさ」
バタンと音を立てて龍之介がベンチを去った。
星一「・・・いっちまったな」
星満「ああ」
星一「じゃ、俺もちょっと呼ばれて居るんだ。じゃな」
星満「あ、オイ!」
星満の声に構わず星一はベンチを去った。

−某料亭−
星一「ここ・・だよな」
店に入ると元気のいい店員が飛び出してきた。
店員「お一人様ですか?」
星一「いや、待ち合わせてるんだが・・・」
店員「ええっとぉ・・・西村様とですか?」
星一「ハイ」
店員「それならばあちらの席です。ごゆっくりどうぞ」
その席は壁際の席だった。
そこに行くと、30ぐらいの男がいた。
星一「どうも」
西村スカウト「よくきてくれたね」
割合恰幅の良さそうな人だった。
西村スカウト「私がスカウトだと言うことは知っているよね?」
星一「ああ、ハイ。一応は」
西村スカウト「そこで、我が球団は君を逆指名したいんだ」
星一「え?逆指名……?」
唐突な話だった。
西村スカウト「うむ、私は運良く君の好きな広島東洋カープの
       スカウトなんだ。君なら逆指名、受けてくれると
       思うんだが…」
星一「…あの、星満は…あいつはどうでしょう?」
西村「ん?ふふ…もちろん彼も指名されるだろう。何処に行くかは、
   わたしにはわからんがな」
……カープはガキの頃から好きな球団だった。
俺にとってこの上ないチャンスだ。
それに星満と一緒にやれるかもしれない・・・・・・
星一「そうですか…わかりました、俺、逆指名させてもらいます」
西村「そうか!」

−ドラフト会議当日−
星満「ありゃ?お前はドラフト見ないのか?」
星一「・・・ああ」
星満「なんでだよ?」
星一「・・・・別に。早くお前行って来いよ。はじまっちまうぜ」
星満「ったくしょーがねーなー」

−第3機材室−
星満が待機していると守が入ってきた。
猪狩守「龍之介君はタバコ一本吸ったら来るって」

そしてドラフトが始まった。
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オリックスブルーウェーブ
大山春東 23歳 野手

広島東洋カープ
新井星一 24歳 投手

福岡ダイエーホークス
鴨方大門 24歳 外野手

横浜ベイスターズ
伊勢原大和 24歳 投手
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そこまで言ったとき龍之介が入ってきた。
読売ジャイアンツ
猪狩守24歳 投手
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以上で指名を終わります。

俺は社会人での最後のデスクワークを終わらせた。
ふう・・・もうドラフトも終わった頃かな・・・・
バターン!
おもいっきり星満がかけこんできた。
星一「おう、指名されたか?」
星満「ああ、カープで2位な・・・じゃなくて!」
星一「そうか、大和は?」
星満「ああ、大和は横浜でって違う!」
星一「なんだよ、大山兄弟と鴨方か?」
星満「すげぇんだぜ、オリックス1〜4位使って
   大山兄弟でよ、鴨方はダイエーって俺の話聞けよ!!」
星一「わかった、わかった。で、なんなんだ?」
星満「龍之介と拓郎が指名されてないんだ」
星一「なんだ、そんな・・・ってえ!?」
星満「とにかく来い!」
星一「わかった!」

−第3機材室−
星一「オイ!龍之介が指名されてないって本当か?」
龍之介「本当だよ、何あせってんだ?」
星一 「そんなバカな…龍之介、お前影山に呼ばれてたんだろ?!」
そこで猪狩が口を挟んだ。
猪狩守「あ、あの人は巨人のスカウト…僕に逆指名を頼んだんだよ
    たしか…12日の夜だった…」
拓郎 「たしか、試合があったの、11日だな?」
龍之介「ああ。俺が話していたのは11日だぜ」
そこで星満も声を出した。
星満「でもっ、でもなんでそれじゃあ汐瀬達が指名されないんだよ!
   お前達(ら)……まさか……」
星満は俺たちを見つめ、手が震えていた。
龍之介「さ、拓郎、飲みにでも行くか?」
拓郎 「おぉ、たまにはいいな」
龍之介「じゃあな、お前ら〜」
猪狩守「ちょっと…!龍之介く〜〜ん!!!!!」

−こうして龍之介はプロへ行かなかった。
 
 しかし、俺も明日からはプロとしての戦いが始まる……